人と時代を見つめた言葉を
紡いでいきたい。
「人差し指」篇
NA:
昔、人差し指は何をしていた。
友達の家の呼び鈴を押した。
あ~そ~ぼ。
昔、人差し指は何をしていた。
父さんとの将棋で飛車を指した。
パチン。
昔、人差し指は何をしていた。
家族が寝静まった夜更け、算盤をはじいた。
節約、節約。
昔、人差し指は何をしていた。
うちの子と隣の子のすり傷に、軟膏を塗った。
けんか両成敗だよ。
昔、人差し指は何をしていた。
下宿先で、黒電話のダイヤルを回した。
母さん、ごぶさたです。
昔、人差し指は何をしていた。
臨終のじいちゃんの瞼を閉じた。
よく頑張ったな。
今、人差し指は何をしている。
SE:キーボードを打つ後の音に、
エンターキーをパンと押す音。
人差し指という名を持ちながら、
「人を指してはいけない」と教わってきた指。
その指が、顔の見えない誰かを鋭く指す。
これから、人差し指は何をしていく。
つらい人の涙をぬぐえる、その指の力。
心は、心臓に、脳に、そして指にある。
JT
(第63回宣伝会議賞シルバー賞受賞作品/ラジオCM)
フューチャー・ワーズは、代官山にある小さなコピーライター事務所です。
2001年設立。コピーライティング、タグライン、ネーミング開発、企業の物語執筆などを担当。
さまざまな言葉が溢れかえる中、人間を見つめたコピーの力を信じています。